遺品を売ったら税金がかかる?非課税のケースや手続き方法・遺品整理の品を売却する時のポイント

2025年06月05日

遺品整理をした際に、いくつかの遺品を売却するという選択肢を考えることもあるでしょう。

しかし、遺品を売却して得たお金に税金がかかるのか、もし掛かるならどのような手続きが必要なのか、といった疑問や不安を感じる方は少なくありません。

結論として、遺品の売却益には税金が発生する場合がありますが、全てのケースで課税されるわけではなく、非課税となる場合や税負担を軽減できる控除制度も存在します。

この記事では、遺品売却に伴う税金の基本的な仕組み、課税対象となる品物とならない品物の違い、税金の計算方法の概要、そして確定申告の要否と手続きの流れについて、分かりやすく解説します。

遺品の売却を検討されている方、また税金について具体的に知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

遺品売却と税金の基礎知識

遺品整理・自分で

故人の大切な遺品を売却する際に、税金が関わってくることをご存じでしょうか。

遺品整理を進める中で、売却を検討する場面もあるかもしれません。ここでは、まず遺品売却と税金の基本的な関係性について解説します。

具体的には、以下の3つのポイントで解説します。

  • 遺品を売るとなぜ税金が発生するのか
  • どのような遺品が税金の対象になり、ならないのか
  • 相続税と遺品売却の税金はどう違うのか

遺品を売るとなぜ税金が発生する?

故人が残された品物を売却して利益が出た場合、その利益は原則として所得と見なされます。これが、遺品売却に税金が発生する基本的な理由です。

多くの方が相続時に意識される相続税とは別に、売却によって得た利益に対して所得税や住民税がかかる可能性がある点を理解しておくことが大切です。

税金に関する知識がないまま手続きを進めてしまうと、あとから追徴課税や加算税といったペナルティが発生してしまうリスクも考えられます。

余計な心配をせず、スムーズに遺品整理をおこなうためにも、まずは基本的な知識を身につけておくことが重要と言えるでしょう。この情報は、遺品売却時の税金について考える上での第一歩となります。

税金対象の遺品と非対象の遺品

遺品を売却した場合、すべての品物に税金がかかるわけではありません。

基本的には、換金価値のある遺品、たとえば不動産、貴金属、骨董品、株式などの売却によって得た利益は課税対象となる可能性があります。

一方で、日常生活で使用していた家具や衣類、家電製品といった「生活用動産」と呼ばれるものは、原則として売却しても税金はかかりません。これは多くの方にとって安心材料となるでしょう。

ただし、注意が必要なのは、生活用動産であっても1点または1組の価額が30万円を超えるような貴金属、美術品、骨董品などは例外的に課税対象となる点です。たとえば、高価な宝石や有名な画家の絵画などがこれに該当します。

どのようなものが課税対象になりやすいのか、そして非課税となる範囲はどこまでなのかをあらかじめ理解しておくことは、無用な心配を減らし、適切な対応をとるために非常に重要です。

相続税との関係

遺品整理を進める上で、「相続税を支払ったのだから、遺品を売却してももう税金はかからないのでは?」と考える方もいるでしょう。

しかし、相続税と遺品売却にかかる税金(主に譲渡所得税)は、その性質が異なります。

相続税は、故人から財産を相続したという事実そのものに対して課される税金です。

一方、遺品売却によって発生する可能性のある税金は、相続した財産を売却して利益が出た場合に、その利益に対してかかるものです。

つまり、これら二つの税金は、発生するタイミングも課税される理由も異なるのです。

ただし、相続税の申告時に遺品の評価額が影響する場合があるなど、間接的な関連性が出てくるケースもあります。

両者の違いを正しく理解し、「相続税を払ったから売却益に税金はかからない」という誤解をしないようにすることが、それぞれの税金に適切に対応するためのポイントとなります。

遺品売却でかかる税金の種類とは?

遺品を売却して利益が出た場合、具体的にどのような種類の税金がかかるのでしょうか。

ここでは、遺品売却に際して最も関係の深い税金である「譲渡所得税」を中心に解説します。

主に以下の3点について詳しく見ていきます。

  • 主にかかる税金である「譲渡所得税」とは何か
  • どのような遺品が「譲渡所得の課税対象」となるか
  • 所得税に加えて住民税にはどのような影響があるか

主にかかるのは「譲渡所得税」

故人の遺品を売却して得た利益の多くは、税法上「譲渡所得(じょうとしょとく)」として扱われます。これが、遺品売却の際に主に関わってくる税金の種類です。

譲渡所得とは、土地、建物、株式、ゴルフ会員権といった特定の資産を売却(譲渡)した際に生じる所得のことを指します。

遺品売却の場合、この譲渡所得は、給与所得や事業所得など他の種類の所得と合算され、その合計額に対して所得税が課税される「総合課税」が基本となります。

ごくまれなケースとして、故人が所有していた不動産や株式を売却する場合には「分離課税」という異なる計算方法が用いられることもありますが、一般的な遺品の売却においては総合課税の譲渡所得となることが多いと覚えておくとよいでしょう。

「譲渡所得」という言葉と、その基本的な仕組みを理解することが、この先の税金計算を理解する上で重要になります。

譲渡所得の課税対象

それでは、具体的にどのような遺品が譲渡所得の課税対象となるのでしょうか。

基本的には、前述した「生活用動産の特例」に当てはまらない、ほぼすべての換金価値のある遺品が対象となり得ます。

たとえば、以下のようなものが挙げられます。

  • 美術品や骨董品
  • 宝石や貴金属(ネックレス、指輪など)
  • 書画
  • 高級時計

また、自動車やオートバイなども、趣味性の高いものや希少価値のあるクラシックカーなどは課税対象となる場合があります。

ここで重要なのは、税金がかかるのは売却価格そのものではなく、売却価格からその遺品を手に入れた際にかかった費用(取得費)や売却するために直接かかった費用(譲渡費用)を差し引いた「利益部分」に対してであるということです。

この「利益」がプラスになった場合に、譲渡所得として課税される可能性があると理解しておきましょう。

住民税への影響はある?

遺品の売却によって譲渡所得が発生し、所得税が課税される場合、その影響は所得税だけに留まりません。その所得額に基づいて、翌年度の住民税も課税される仕組みになっています。

所得税の確定申告を税務署におこなえば、その情報が地方自治体(市区町村や都道府県)に通知されるため、原則として別途住民税の申告手続きをおこなう必要はありません。

これにより、申告の手間が二重にかかることは避けられます。

住民税の税率は、一般的に所得割が一律10パーセント(都道府県民税4パーセント、市区町村民税6パーセント)となっています。

この住民税は、遺品を売却した年の翌年度の税額に反映されることになりますので、資金計画を立てる際にはこの点も考慮に入れておくとよいでしょう。

所得税だけでなく住民税も発生する可能性があることを理解しておくことが大切です。

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税金がかからないケース|生活用動産の特例

遺品を売却したからといって、必ずしもすべてのケースで税金が発生するわけではありません。

実は、日常生活で使っていた特定の品物については、売却しても税金がかからないという特例が存在します。これを「生活用動産の特例」と呼びます。

ここでは、以下の3つのポイントからこの特例について詳しく解説します。

  • 生活用動産の非課税とはどのような制度か
  • 具体的にどのようなものが非課税となるのか
  • 非課税かどうかの判断基準となる「30万円」の考え方

生活用動産・非課税とは?

日常生活で使用していた家具、家電製品、衣類などを売却して利益が出たとしても、原則としてその利益に税金はかかりません。

これが「生活用動産の特例」と呼ばれるもので、所得税法で定められている非課税のルールです。

この特例があるため、多くの方が遺品整理の際に不用品を売却しても、税金の心配をする必要がないケースが多くあります。

ただし、この特例には重要な注意点があります。

それは、生活用動産であっても、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、美術品、骨董品などは、この特例の対象外となり課税されるという点です。

これらは一般的に生活に通常必要とは言い難い、ぜいたく品と見なされるためです。

また、はじめから転売する目的で仕入れた品物、つまり事業としておこなっているような場合には、この特例は適用されない可能性があります。

この特例の範囲を正しく理解しておくことが、賢く遺品整理を進めるための重要なポイントとなります。

非課税となる具体例

生活用動産の特例によって税金がかからない遺品には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

【非課税となる遺品の例】
  • 故人が普段着ていた洋服や和服
  • 中古のテレビ、冷蔵庫、洗濯機など一般的な家電製品
  • 日常的に使用していた食器類や調理器具
  • 読み終えた書籍やCD、DVDなど
  • 故人の趣味で集めていた一般的なコレクション

最近ではフリマアプリやネットオークションを利用して個人が不用品を売却するケースも増えていますが、こういった形での売却も、その多くはこの非課税の範囲に収まることが多いでしょう。

これらの売却益には基本的に税金がかからず、確定申告も不要であると知っておけば、心理的な負担も軽くなるのではないでしょうか。い。

特例が適用される30万円の判断基準は?

生活用動産の特例が適用されるかどうかの重要な分かれ目となる「1個または1組の価額が30万円を超える」という基準ですが、この「30万円」はどのように判断するのでしょうか。

まず、「1個または1組」という単位で考えます。

たとえば、宝石であれば指輪1個、対になっているイヤリングであればその1組、複数点で構成されるティーカップのセットであればその1組の価額で30万円を超えるかどうかを判断します。

次に、この30万円という金額は、必ずしも「売却した価格」だけで判断されるわけではない点に注意が必要です。

税務上の判断では、その品物の「時価」、つまりその時点での客観的な価値で評価される場合があります。

そのため、売却価格が30万円以下であったとしても、本来の価値が30万円を超えると判断されれば課税対象となる可能性も否定できません。

とくに骨董品や美術品のように、価値の判断が難しいものについては、専門家による鑑定結果などが判断材料となることもあります。

もし、自身で判断に迷う場合や、明らかに高額になりそうな遺品がある場合には、自己判断せずに税理士などの専門家に相談することが、最も安全で確実な方法と言えるでしょう。

【税金はいくらかかる?】遺品売却にかかる税金の計算方法

遺品を売却して利益が出た場合、実際にどのくらいの税金がかかるのか気になるところでしょう。

税金額を把握するためには、まず課税対象となる「譲渡所得」を計算する必要があります。

ここでは、譲渡所得の計算方法について、以下の流れで解説します。

  • 基本となる譲渡所得の計算式
  • 計算に必要な「取得費」とは何か、何が含まれるのか
  • 同じく計算に必要な「譲渡費用」とは何か、認められる範囲
  • 税負担を軽減する「特別控除(最大50万円)」について
  • 所有期間によって税率が変わる「短期譲渡」と「長期譲渡」の違い

譲渡所得の計算式

遺品売却による譲渡所得の金額は、以下の基本的な計算式で算出します。

譲渡所得の金額 = 売却価格(収入金額) – (取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額(最高50万円)

この計算をおこなった結果、算出された「譲渡所得の金額」がプラスになった場合に、その金額に対して所得税や住民税がかかる可能性があるということになります。

逆に、この計算結果がマイナスになったり、ゼロになったりした場合は、原則としてその遺品売却に関して税金はかかりません。

この計算式が、遺品売却と税金を考える上での出発点となります。

取得費には何が含まれる?

譲渡所得を計算する上で非常に重要な項目の一つが「取得費」です。

取得費とは、故人がその遺品を手に入れた際に支払った購入代金や、購入時にかかった手数料(たとえば、美術品購入時の仲介手数料や輸入時の関税など)のことを指します。

この取得費を証明するためには、故人が品物を購入した際の契約書や領収書、銀行の振込控え、クレジットカードの利用明細といった客観的な証拠書類が必要となります。

これらの書類が残っているかどうかで、納める税金の額が大きく変わってくる可能性があるため、丁寧に探すことが大切です。

もし、故人がその遺品をいくらで購入したかわからず、関連する書類も全く見つからないという場合には、売却した価格の5パーセントを「概算取得費」として計上できるというルールがあります。

ただし、この5パーセントルールは、実際の取得費よりもかなり低くなってしまうケースが多く、結果として税金の負担が増えてしまう可能性がある点には注意が必要です。

取得費を正確に把握し、証明できるかどうかは、節税を考える上で最初の大事なポイントと言えるでしょう。

譲渡費用が認められる範囲

譲渡所得の計算において、取得費と並んで売却価格から差し引くことができるのが「譲渡費用」です。譲渡費用とは、遺品を売却するために直接かかった費用のことを指します。

具体的にどのような費用が譲渡費用として認められる可能性があるかというと、たとえば以下のようなものが挙げられます。

  • 売却を依頼した業者へ支払った仲介手数料
  • 美術品などの鑑定を依頼した場合の鑑定料
  • 売却する遺品を運搬するためにかかった費用
  • 売却するために必要となった梱包費用

重要な注意点として、遺品整理作業全体にかかった費用や、単に不用品を処分するために業者へ支払った費用などは、原則としてこの譲渡費用には含まれません。

あくまで、「その遺品を売却するために直接必要だった費用」が対象となります。

譲渡費用を正しく計上するためにも、関連する領収書や契約書などの証拠書類をきちんと保管しておくことが不可欠です。

認められる範囲を理解し、漏れなく計上することが、少しでも税負担を抑えることにつながります。

特別控除は年間で最大50万円

遺品売却を含む総合課税の譲渡所得には、税負担を軽減するための「特別控除」という制度があります。

この特別控除額は、年間で最高50万円です。これは納税者にとって大きなメリットと言えるでしょう。

この特別控除は、遺品の売却によって得た利益だけでなく、たとえばゴルフ会員権を売却して得た利益など、他の総合課税の対象となる譲渡所得と合わせて、年間で合計50万円まで控除することができる仕組みになっています。

そのため、先ほどの計算式「売却価格 – (取得費 + 譲渡費用)」で算出された利益が50万円以下であれば、この特別控除を適用することで譲渡所得の金額はゼロとなり、結果としてその年の遺品売却に関する所得税や住民税はかからないというケースが多くあります。

なお、この特別控除額50万円は、売却した遺品の所有期間が短いか長いか(短期譲渡か長期譲渡か)にかかわらず、一律で適用されます。

この控除の存在を知っているだけでも、税金に対する不安は大きく軽減されるのではないでしょうか。

税率は「短期譲渡」と「長期譲渡」に区分される

譲渡所得にかかる税金の税率は、故人がその遺品を取得してから売却するまでの所有期間によって異なります。

この所有期間に応じて、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2つに区分され、税金の計算方法が変わってきます。

具体的には、所有期間が売却した年の1月1日時点で5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」として扱われます。

この区分が重要なのは、長期譲渡所得の方が税制上優遇されているためです。長期譲渡所得に該当する場合、課税対象となる所得金額が、計算された「譲渡所得の金額の2分の1」に圧縮されてから税率が掛けられます。

つまり、同じ利益額であっても、長期譲渡所得の方が税負担は軽くなるのです。これは大きなメリットと言えるでしょう。

具体的な所得税と住民税を合わせた税率は、他の所得との合計額によって変動する累進課税が適用されるため一概には言えませんが、一般的に短期譲渡所得の方が長期譲渡所得よりも高い税率になります。

したがって、故人が遺品をいつ取得したのか、その所有期間を確認することが、最終的な税額を見積もる上で影響してくることを理解しておきましょう。

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遺品を売った時の確定申告|手続きの流れ

遺品を売却して利益が出た場合、次に考えなければならないのが確定申告です。

必ずしもすべてのケースで確定申告が必要になるわけではありませんが、どのような場合に必要で、どのような手続きが必要になるのかを事前に把握しておくことは非常に大切です。

ここでは、確定申告について、以下のポイントを解説します。

  • 確定申告が必要となる具体的なケース
  • 確定申告が不要となるケース
  • 確定申告の期間と提出方法
  • 確定申告に必要な主な書類

確定申告が必要なケース

遺品を売却して利益が出たとしても、すべての方が確定申告をしなければならないわけではありません。

しかし、以下のようなケースに該当する場合には、原則として確定申告が必要となります。

まず、遺品の売却によって譲渡所得が発生し、前述の特別控除50万円などを差し引いてもなお利益が残る場合です。

この利益に対して所得税が課税されるため、申告が必要になります。

また、会社にお勤めの方など給与所得がある方でも、給与以外の所得、たとえば遺品売却による譲渡所得を含めた年間の合計所得金額が20万円を超える場合には、確定申告をおこなう必要があります。

年金を受給されている方も、公的年金等の収入金額やその他の所得の状況によっては確定申告が必要となるケースがあります。

その他、個人で事業をされている方やフリーランスとして活動されている方は、事業所得などと合わせて遺品売却による譲渡所得も申告する必要が出てきます。

ご自身の状況がこれらのケースに当てはまるかどうかを確認し、申告義務の有無を判断することが重要です。

確定申告が不要なケース

一方で、遺品を売却しても確定申告が不要となるケースもいくつかあります。どのような場合に申告が不要になるのかを理解しておくことで、無駄な手間を省くことができます。

まず、遺品売却による譲渡所得を計算した結果、マイナス、つまり損失になった場合は、基本的に確定申告は不要です。

ただし、他に総合課税の対象となる譲渡所得がある場合には、それらと損益通算(利益と損失を相殺すること)ができるケースもあり、その場合は申告した方が有利になることもあります。

また、売却した遺品がすべて「生活用動産の特例」の範囲内であり、課税対象となるものが一切なかった場合も、確定申告は必要ありません。

譲渡所得がプラスになったとしても、年間の特別控除額50万円の範囲内に収まるため、最終的に課税される所得金額がゼロになる場合も、申告は不要です。

さらに、会社員などの給与所得者の方で、遺品売却益を含む給与以外の所得が年間20万円以下の場合も、所得税の確定申告は原則として不要とされています。

ただし、この場合でも住民税の申告は別途必要になるケースがある点には注意が必要です。

これらの不要なケースに該当するかどうかを事前に確認し、適切に対応しましょう。

確定申告の期間と提出方法

遺品売却による譲渡所得について確定申告が必要な場合、その申告手続きはいつ、どのようにおこなえばよいのでしょうか。

確定申告の期間は、原則として、遺品を売却した年の翌年の2月16日から3月15日までの約1ヶ月間と定められています。この期限内に申告と納税を済ませることが重要です。

申告書の提出方法には、いくつかの選択肢があります。

税務署の窓口へ持参直接税務署へ行き、窓口で提出する方法です。不明な点をその場で質問できる場合があります。
郵送作成した申告書を郵便または信書便で税務署へ送付する方法です。
e-Tax(イータックス) 国税庁のウェブサイト「e-Tax」を利用して、インターネット経由で電子的に申告する方法です。自宅から24時間いつでも提出が可能で、一部の添付書類を省略できる場合があるほか、還付金の受け取りがスピーディーになるなどのメリットがあります。

とくにe-Taxは近年利用者が増えており、マイナンバーカードと対応するスマートフォンまたはICカードリーダライタがあれば比較的簡単に利用できます。

初めての方でも取り組みやすいように、それぞれの提出方法の特徴を理解し、ご自身に合った方法を選ぶとよいでしょう。

期限と提出方法をしっかりと把握し、計画的に準備を進めることが大切です。

確定申告に必要な書類

遺品売却に関する譲渡所得の確定申告をスムーズに進めるためには、事前に必要な書類を準備しておくことが肝心です。

具体的にどのような書類が必要になるのか、主なものを以下に挙げます。

まず、申告の基本となる「確定申告書」が必要です。会社員の方などが使うA様式、個人事業主の方などが主に使うB様式がありましたが、令和4年分以降は様式が一本化されています。

これに加えて、譲渡所得の金額を計算した明細を示す「譲渡所得の内訳書(計算明細書)」も必須となります。

さらに、申告内容の根拠となる書類として、以下のようなもののコピーを添付または提示する必要があります。

  • 遺品を売却した際の契約書や領収書など(売却価格を証明するもの)
  • 故人がその遺品を取得した際の契約書や領収書など(取得費を証明するもの)
  • 売却にかかった仲介手数料や運搬費などの領収書(譲渡費用を証明するもの)

このほか、申告者本人のマイナンバーカード(またはマイナンバー通知カードと本人確認書類)の写しも必要です。

もし税金の還付を受ける場合には、還付金を振り込んでもらうための金融機関の口座情報も準備しておくと手続きがスムーズです。

これらの書類は多岐にわたるため、申告期限間際になって慌てないよう、早めにリストアップし、収集をはじめることをおすすめします。

知っておきたい!遺品売却時の税金対策

遺品を売却する際には、少しでも税金の負担を軽くしたいと考えるのは自然なことです。実は、いくつかのポイントを押さえておくことで、合法的に税負担を軽減できる可能性があります。

ここでは、知っておくと役立つ遺品売却時の税金対策について、以下の4つの観点から解説します。

  • 取得費を証明する書類の重要性
  • 売却タイミングの工夫
  • 相続財産を売却した場合の取得費加算の特例
  • 困ったときの専門家への相談

これらの対策を理解し、ご自身の状況に合わせて適切に活用することで、後悔のない遺品整理を進めることができるでしょう。

取得費証明書類の重要性

遺品を売却する際の税金計算において、節税の最も基本的なポイントとなるのが、その遺品の「取得費」を正確に把握し、証明することです。

取得費とは、故人がその品物を手に入れた際にかかった費用のことです。

なぜ取得費の証明が重要かというと、取得費が不明な場合、税法上、売却価格の5パーセントしか経費として認められない「概算取得費」というルールが適用されることになるからです。

この概算取得費は、実際の取得費よりも大幅に低くなってしまうケースが多く、その結果、課税対象となる譲渡所得の金額が増え、納める税金が高くなってしまうリスクがあります。

そのため、故人が遺品を購入した際の契約書、領収書、請求書、あるいは銀行の預金通帳の引き落とし履歴やクレジットカードの利用明細など、取得費を証明できる可能性のある書類を根気強く探す努力が非常に重要になります。

もし書類が見つからない場合でも、すぐに諦めずに税理士などの専門家に相談することで、何らかの対処法が見つかる可能性もあります。

この書類の有無が、最終的に手元に残るお金を大きく左右する可能性があることを、ぜひ覚えておいてください。

遺品を売るタイミング

遺品を売却するタイミングを工夫することも、税負担を軽減するための一つの方法となり得ます。とくに、譲渡所得の特別控除(年間最大50万円)を有効に活用するという観点から考えてみましょう。

もし価値のある遺品が複数あり、それらを一度に同じ年に売却してしまうと、それぞれの売却益が合算され、年間の特別控除枠である50万円をすぐに超えてしまう可能性があります。

その結果、控除しきれなかった利益に対して税金がかかってしまいます。

そこで、可能であれば、売却益が出そうな遺品を複数年に分けて売却するという方法が考えられます。

たとえば、ある遺品を今年売却し、別の遺品を来年売却するといった形です。これにより、毎年特別控除の適用を受けられるチャンスが生まれ、結果としてトータルの税負担を軽減できる場合があります。

ただし、遺品の保管状況や状態の悪化リスク、あるいは早期に現金化したいというご遺族の意向など、他の要因も総合的に考慮して判断する必要があります。

また、故人が遺品を取得してからの所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」に該当すると税率が有利になるため、売却を急がない場合には5年の経過を待つという選択肢も、状況によっては有効な対策となるでしょう。

相続財産売却時の取得費加算特例

相続税を支払った方が遺品などの相続財産を売却する場合に、税負担を軽減できる可能性のある特例として「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」、通称「取得費加算の特例」という制度があります。これは非常に重要な節税策となり得ます。

これは、相続または遺贈により取得した財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却した場合に適用できるものです。

この特例を利用すると、その相続財産を相続する際に支払った相続税額のうち一定の金額を、売却した遺品の取得費に加算することができます

取得費が増えるということは、課税対象となる譲渡所得が圧縮されるため、結果として所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があるのです。

この特例の適用を受けるためには、「相続税を納めていること」「定められた期間内に売却すること」といったいくつかの条件を満たす必要があります。

また、取得費に加算できる相続税額の計算もやや複雑です。そのため、この特例の利用を検討する場合には、税理士などの専門家に相談することを強くおすすめします。

条件に合致すれば大きな節税効果が期待できるため、該当する可能性のある方はぜひ確認しておきたい制度です。

専門家への相談を検討する

遺品売却に伴う税金の計算や確定申告の手続きは、売却する遺品の種類や金額、故人や相続人の状況によって非常に複雑になるケースがあります。

自身だけで全てを正確に把握し、対応するのは難しいと感じる方も少なくないでしょう。

とくに、以下のような場合には、税金の専門家である税理士に相談することを検討するのが最も確実で安心な方法と言えます。

  • 売却する遺品の評価額が高額である場合
  • 故人が遺品を取得した際の費用(取得費)が不明な場合
  • 複数の相続人が関わっており、遺産分割が複雑な場合
  • 「取得費加算の特例」など、専門的な知識が必要な特例の適用を検討している場合

税理士に相談・依頼するにはもちろん費用がかかりますが、それによって適切な節税アドバイスを受けられたり、複雑な申告手続きを正確に代行してもらえたり、何よりも申告漏れや計算ミスといったあとあとのトラブルリスクを回避できるメリットは大きいと言えるでしょう。

相談するタイミングとしては、可能であれば遺品を売却する前に一度相談しておくと、より有利な選択肢を検討できる場合があります。

また、遺産相続や譲渡所得の取り扱いに詳しい、経験豊富な税理士を選ぶことも重要なポイントです。

自分だけで抱え込まず、専門家の力を借りることも、後悔しない遺品整理を進めるための賢明な選択肢の一つとして考えてみてください。

遺品売却なら遺品整理と買取ができる遺品整理業者へ依頼がおすすめ!

遺品の売却を考える際、時間や手間をできるだけかけずに進めたいという方も多いのではないでしょうか。

そのような場合、遺品整理と不用品の買取を一度におこなえる遺品整理業者への依頼は、有力な選択肢の一つとなります。

多くの品物を一度に査定・買取してもらえるため、個別に買取店へ持ち込んだり、フリマアプリで出品したりする手間を大幅に削減できるのが大きなメリットです。

また、業者によっては、骨董品や貴金属など専門知識が必要な品の査定に対応できる場合もあり、適正な価格での売却が期待できます。

遺品整理から売却までを一括して任せられることで、ご遺族の精神的な負担も軽減されるでしょう。

ただし、業者によってサービス内容や買取価格は異なりますので、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが大切です。

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遺品整理は亡くなった方の荷物の整理や不用品の処理など、時間や手間がかかる作業です。

遺品の価値や処理方法がわからずに、片付けが進まないこともあります。また、気持ちの整理がつかずに手がつかないこともあるでしょう。

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URIKOは遺品整理士協会から「優良事業者」の認定を受ける遺品整理業者です。お客様のお気持ちを大切にし、寄り添いながら遺品整理に対応します。

URIKOでは買取事業もおこなうため、専門知識を持つスタッフがお品物をしっかりと査定します。

また、ゴミ屋敷の清掃や不要品回収、害虫駆除やハウスクリーニングなどもおこなうため、お客さまの状況にあわせた対応が可能です。

他社で値段がつかなかった遺品があれば、ぜひ一度相談ください。

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遺品売却の税金に関するよくある質問

遺品売却と税金については、普段あまり馴染みがないため、さまざまな疑問が浮かんでくることでしょう。

ここでは、とくに多くの方が疑問に思われる点や、知っておくと役立つ知識について、Q&A形式で解説します。

故人の借金がある時、遺品を売って返済できる?

故人に借金が残っていた場合、遺品を売却して得たお金をその借金の返済に充てること自体は可能です。しかし、税金の計算においては注意が必要です。

原則として、故人の借金と、遺品を売却して得た利益(譲渡所得)を直接相殺して、税金の計算対象となる所得を減らすことはできません

譲渡所得はあくまで売却によって得た利益に対して計算されるものです。

ただし、相続放棄や限定承認といった手続きを検討している場合には、遺品を売却する行為が「単純承認した」とみなされ、これらの手続きが取れなくなる可能性があります。

借金の額が大きい場合や、相続財産の全体像が不明確な場合は、遺品を売却する前に、まず弁護士や税理士などの専門家に相談し、相続全体の方針を決定することが非常に重要です。

安易な判断は避け、慎重に対応しましょう。

複数相続人がいる場合は誰が税金を支払う?

故人の遺品を複数の相続人が共同で相続し、その後、その遺品を売却して利益が出た場合、税金は誰がどのように支払うのでしょうか。

この場合、原則として、それぞれの相続人が、その遺品に対する相続分(遺産分割協議で決定した割合など)に応じて譲渡所得を計算し、各自が確定申告をおこない、納税する義務を負うことになります。

つまり、代表者一人がまとめて申告・納税するのではなく、利益を得た相続人それぞれが個別に手続きをおこなう必要があるのです。

そのため、遺品を売却する前、あるいは売却後速やかに、相続人間で売却代金をどのように分配するのか、そしてそれに伴う税金の負担をどのようにするのかについて、事前にしっかりと話し合っておくことが、あとあとのトラブルを避けるために非常に重要です。

可能であれば、遺産分割協議書などで、誰がどの遺品をどの割合で相続し売却したのかを明確に記載しておくことが望ましいでしょう。

フリマアプリで遺品を売った時の税金は?

基本的に、ご自身の不用品(生活用動産)をフリマアプリなどで売却して得た利益については、原則として税金はかかりません(非課税)。

これは、日常生活で使用していた衣類や家具、書籍などが該当します。この点は多くの方にとって安心材料となるでしょう。

ただし、注意が必要なケースもあります。

たとえば、生活用動産であっても、1点または1組の価額が30万円を超えるような高価なもの(宝石、美術品、骨董品など)を売却して利益が出た場合は、課税対象となる可能性があります。

また、明らかに営利を目的として、継続的に商品の仕入れと販売をおこなっていると見なされるような場合には、事業所得や雑所得として課税されることも考えられます。

どの程度の頻度や金額から「営利目的」と判断されるかはケースバイケースであり、一概には言えません。

遺品を寄付した時の税金は?

遺品を国や地方公共団体、あるいは特定の公益法人などに寄付した場合、その寄付した財産の価額に応じて、所得税の計算上「寄付金控除」という所得控除を受けられる可能性があります。

この寄付金控除を受けるためには、確定申告が必要となり、寄付先の団体から発行される領収書(受領証)などの証明書類を添付する必要があります。

ただし、注意点として、すべての寄付がこの控除の対象となるわけではありません。控除の対象となる寄付先の範囲は法律で定められていますので、事前に確認が必要です。

現金化する代わりに社会貢献を考える場合に、このような税制上のメリットがあることを知っておくと、選択肢の一つとして検討しやすくなるでしょう。

また、相続税の申告においても、特定の公益法人などへの寄付は、相続財産の評価額から控除される場合があります。こちらも合わせて確認しておくとよいでしょう。

確定申告せずに申告漏れした時のペナルティはある?

遺品を売却して得た利益について、確定申告が必要であるにもかかわらず申告を怠ったり、あるいは意図的に所得を少なく申告したりした場合、あと日、税務調査などでその事実が発覚すると、さまざまなペナルティが課されるリスクがあります。

これは絶対に避けたい事態です。

主なペナルティとしては、まず本来納めるべきだった税金(本税)を納付する必要があります。

それに加えて、申告をしなかったことに対する「無申告加算税」や、申告した所得が少なかったことに対する「過少申告加算税」が課されることになります。

さらに、これらの税金を納期限までに納めなかった場合には、その遅れた日数に応じて「延滞税」も発生します。

これらの加算税や延滞税が積み重なると、当初納めるべきだった税額よりもかなり大きな金額を支払わなければならなくなる可能性があり、経済的な負担は非常に大きくなります。

もし、申告内容が悪質であると判断された場合には、より重い「重加算税」が課されたり、場合によっては脱税として刑事罰の対象となったりすることさえあります。適正な申告と納税がいかに重要であるかをご理解いただけたでしょうか。

万が一、申告漏れや計算ミスにあとから気づいた場合には、できるだけ速やかに自主的に修正申告や期限後申告をおこなうことが大切です。

まとめ

この記事では、遺品売却に伴う税金の基本的な仕組みから、課税対象となるケース・ならないケース、譲渡所得の計算方法、確定申告の手続き、そして利用できる可能性のある税金対策や困ったときの相談先について解説しました。

故人の遺品を売却して利益が出た場合には、原則としてその利益に対して譲渡所得税がかかります

しかし、日常生活で使用されていた家具や衣類などの「生活用動産」の売却益は原則非課税となる特例があり、また、譲渡所得の計算では取得費や譲渡費用を差し引いたり、最大50万円の特別控除が適用されたりするなど、税負担を軽減できるポイントもいくつか存在します。

今回の情報を参考に、まずはご自身の状況で遺品売却益に税金がかかる可能性があるのかどうかを大まかに把握し、必要に応じて税務署や税理士といった専門家にも相談しながら、落ち着いて適切な手続きを進めていきましょう。

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