
遺品整理で出た大量の家財道具は、専門業者に依頼することで、手間や時間をかけずに片付けることができます。
しかし、「遺品整理」と「不用品回収」のどちらに頼むべきか、故人の物をゴミとして扱うことへの罪悪感と費用を抑えたい気持ちの間で悩む方は少なくありません。
この記事では、遺品整理と不用品回収について解説します。「遺品整理」と「不用品回収」の具体的な違いから、それぞれのメリット・デメリット、状況に合わせた業者の選び方まで、詳しく説明します。
自分の状況に合った後悔のない選択をしたい方は、参考にしてください。
目次
遺品整理と不用品回収、どちらの業者に依頼すべき?

遺品整理を進める中で出てくる大量の家財。「遺品整理」と「不用品回収」、どちらの業者に頼むべきか悩む方は少なくありません。
ここでは、後悔しない業者選びの結論と考え方について解説します。
- 故人への想いと処分の目的によって使い分ける
- 簡単な状況診断でどちらのサービス向きか知る
- 両方に対応できる業者に一括で任せる方法も
故人への想いと処分の目的によって使い分ける
どちらの業者に依頼すべきかは、故人の品物への想いや、片付けの目的によって決まります。
単に不要なモノを物理的に処分したいのであれば「不用品回収」。故人を偲び、遺品一つひとつと向き合いながら丁寧に整理したいのであれば「遺品整理」が適しています。
まず自分の気持ちと状況を整理することが、後悔しない業者選びの第一歩です。
あなたはどっち?30秒でわかる簡単な状況診断
いくつかの簡単な質問に答えることで、自分がどちらのサービスに向いているかの目安を知ることができます。
- 故人の物を「ゴミ」として処分することに強い抵抗がありますか?
- 貴重品や思い出の品の探索も丁寧にお願いしたいですか?
- 仏壇や人形など、供養が必要な品物はありますか?
- 価値が不明な遺品も多く、専門的な査定・買取もまとめてお願いしたいですか?
上記で「はい」が多い方は「遺品整理業者」への依頼が適しています。
- とにかく1円でも安く、早く部屋を空にすることが最優先ですか?
- 貴重品の仕分けは自分で完了しており、残った物の処分だけを頼みたいですか?
- 処分したい物が、大型の家具やリサイクル家電などに限定されていますか?
- 故人の物であっても、不要なものは事務的に処分することに抵抗はありませんか?
上記で「はい」が多い方は「不用品回収業者」への依頼が適しています。
両方に対応できる業者に一括で任せる方法も
実際には、多くの「遺品整理専門業者」が不用品回収サービスも提供しています。このような業者に一括で任せるのが、最も効率的な方法といえるでしょう。
遺品整理の専門知識を持つスタッフが、故人の想いがこもった品は丁重に扱い、それ以外の家財は不用品として適切に回収・処理してくれます。
費用と故人への想いの両方を大切にしたいと考える方に、おすすめの方法です。
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遺品整理と不用品回収の5つの主な違い

「遺品整理」と「不用品回収」は似ているようで、その目的から料金体系まで大きく異なります。両者の違いを理解することが、適切な業者を選ぶことができるでしょう。
比較項目 | 遺品整理 | 不用品回収 |
---|---|---|
目的 | 遺族の心の整理に寄り添い、故人を偲ぶ | モノを物理的・効率的に処分する |
作業範囲 | 仕分け、貴重品捜索、供養、清掃など包括的 | 基本的に不用品の搬出・運搬のみ |
料金体系 | 部屋の間取りや作業時間、人数が基本 | 回収する品物の量や大きさ(トラックの積載量など)が基本 |
買取の扱い | 専門知識を持つ査定士による適正価格での買取 | 簡易的な査定、または買取不可の場合も多い |
必要な許可 | 古物商許可、一般廃棄物収集運搬業許可など | 一般廃棄物収集運搬業許可、産業廃棄物収集運搬業許可など |
目的の違い:心の整理か、モノの物理的な処分か
両者の最も大きな違いは、サービスの根本的な目的にあります。
遺品整理は、単なる片付け作業ではありません。遺品を通じて故人を偲び、遺族が心の整理をするためのサポートという側面が強くあります。
一方、不用品回収の目的は、不要になったモノを物理的に処分することに特化しています。そのため、作業は効率性やスピードが重視されます。
作業範囲の違い:仕分けや供養まで行うか、搬出のみか
サービスの目的が違うため、作業の範囲も大きく異なります。
遺品整理業者は、部屋にある全ての物を対象に、貴重品や思い出の品の仕分け、不用品の分別、遺品の供養、ハウスクリーニングまで、幅広い作業を請け負います。
対して不用品回収業者は、依頼者が「不要」と判断した物の搬出・運搬が主な作業範囲となります。
料金体系の違い:部屋単位・作業員単位か、品物単位か
料金の算出方法にも違いがあります。
遺品整理の料金は、部屋の間取りや物量に応じた基本料金に、作業員の人数や作業時間、オプションサービスなどを加えて算出されるのが一般的です。
不用品回収は、「軽トラック1台分で〇円」といったトラックの積載量や、回収する品物一点ごとの料金設定が多く見られます。
ただし、業者によっても料金体系は異なります。気になる業者があれば何社か問い合わせしてみるとよいでしょう。
買取の扱いの違い:専門的な査定か、簡易的な査定か
買取サービスへの対応も異なります。
遺品整理業者の多くは、遺品に価値ある骨董品や貴金属が含まれることを想定し、専門の査定士と提携、あるいは自社で育成しています。そのため、適正価格での買取が期待できます。
不用品回収業者も買取を行う場合がありますが、専門的な査定は期待できないことが多く、二束三文での買取や、そもそも買取に対応していないケースもあります。
法律上の違い:必要な許可の種類と根拠
事業を行う上で必要な許可にも違いがあります。
家庭から出る一般ゴミを運搬するには、市区町村が発行する「一般廃棄物収集運搬業許可」が必須です。この許可の有無は両サービスに共通して重要です。
さらに、遺品整理業者が買取を行う場合は「古物商許可」が、不用品回収業者が法人から出るゴミを扱う場合は「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要となります。
遺品整理業者と不用品回収業者のメリット・デメリット

どちらの業者を選ぶべきか判断するために、それぞれのメリットとデメリットを整理してみましょう。
遺品整理業者に依頼するメリット・デメリット
- メリット
- 遺品の仕分けから処分まで全て一括で任せられる。
- 故人の想いに配慮した丁寧な作業が期待できる。
- 貴重品や重要書類の捜索も依頼できる。
- 専門的な査定による高価買取の可能性がある。
- 供養や特殊清掃など、幅広いニーズに対応している。
- デメリット
- 不用品回収のみを依頼する場合より、料金が割高になる傾向がある。
- 丁寧な作業のため、時間がかかる場合がある。
不用品回収業者に依頼するメリット・デメリット
- メリット
- 処分したい物が決まっている場合、料金を安く抑えられる可能性がある。
- スピーディーな対応が期待できる。
- 大型家具や家電など、特定の不用品だけを回収してもらえる。
- デメリット
- 作業が雑で、遺品を丁重に扱ってもらえない可能性がある。
- 悪質な業者が多く、高額請求や不法投棄のリスクがある。
- 貴重品の捜索や供養など、きめ細やかなサービスには対応していない。
状況別に見るおすすめの業者選び

これまでの違いを踏まえ、どちらの業者を選ぶべきか、具体的な3つのケースで解説します。
- 遺品整理業者がおすすめなケース
- 不用品回収業者がおすすめなケース
- 両方に対応できる業者がおすすめなケース
遺品整理業者がおすすめなケース
以下のような場合は、遺品整理業者への依頼がおすすめです。
故人の物を「ゴミ」として処分することに抵抗がある、精神的な負担が大きく仕分け作業から手伝ってほしい、といった心情を重視する場合です。
また、貴重品や相続関係の書類がどこにあるか分からない、買取可能な品があるかどうかも含めて査定してほしい、という場合にも専門知識を持つ遺品整理業者が適しています。
不用品回収業者がおすすめなケース
不用品回収業者が選択肢に入るのは、限定的なケースです。
例えば、遺品の仕分けや貴重品の捜索は全て自分で完了しており、残った大型家具や家電など、処分したい物が明確に決まっている場合です。
信頼できる不用品回収業者に依頼すれば、費用を抑えて効率的に片付けを進められる可能性があります。ただし、業者選びは慎重に行う必要があります。
遺品整理と不用品回収の両方に対応できる業者がおすすめなケース
多くの方にとって最も現実的なのが、遺品整理を専門としつつ、不用品回収にも対応している業者を選ぶことです。
このタイプの業者であれば、故人の想いを大切にしながらも、不要な物は効率的に処分するという、両方のニーズを満たすことができます。
窓口が一つで済むため、手間が省けるだけでなく、作業全体の責任の所在が明確になるというメリットもあります。
要注意!悪質な不用品回収業者の手口と見分け方

不用品回収業者の中には、残念ながら悪質な業者が紛れています。トラブルを避けるための知識を身につけておきましょう。
- 「無料回収」を謳うトラックはなぜ危険なのか
- 「一般廃棄物収集運搬業許可」の有無を必ず確認する
- 高額請求や不法投棄などの実際のトラブル事例
「無料回収」を謳うトラックはなぜ危険なのか
街中を巡回している無料回収トラックの利用は、避けるのが賢明です。
これらの業者の多くは、自治体の許可を持たない違法業者である可能性があります。「無料」と謳いながら、トラックに荷物を積んだ後で高額な「運搬費」や「リサイクル料」を請求する手口が典型的です。
断ると高圧的な態度で支払いを要求されるケースや、回収した物を不法投棄するケースも報告されています。
「一般廃棄物収集運搬業許可」の有無を必ず確認する
家庭のゴミ(一般廃棄物)を収集・運搬するには、市区町村の「一般廃棄物収集運搬業許可」が不可欠です。
許可を持たずに営業している不用品回収業者は違法です。信頼できる業者は、必ずウェブサイトの会社概要ページなどに許可番号を明記しています。
見積もりを依頼する際は、許可の有無を必ず確認しましょう。記載がない業者は避けるべきです。
高額請求や不法投棄などの実際のトラブル事例
悪質な不用品回収業者によるトラブルは後を絶ちません。
- 「作業費は無料」と言われたのに、作業後に数万円の「処分費」を請求された。
- 回収された家電が適切に処理されず、山中に不法投棄されていた。後日、シリアルナンバーから所有者が特定され、警察から連絡が来た。
- 「これも引き取れる」と、依頼していない物まで強引にトラックに積み込み、高額な料金を請求された。
料金の安さだけで業者を選ぶことの危険性を、十分に認識しておく必要があります。
遺品整理・不用品回収を依頼する流れと見積もりの注意点

信頼できる業者を見つけた後も、契約までにはいくつかの重要なステップがあります。ここでは依頼の流れと注意点を解説します。
- 問い合わせから作業完了までの流れ
- 見積もりで必ず確認すべき3つのポイント
- 複数の業者から相見積もりを取る重要性
問い合わせから作業完了までの流れ
- 問い合わせ
電話やウェブサイトのフォームから、状況を伝えて相談します。 - 訪問見積もり
業者が現地を訪れ、物量や作業内容を確認し、見積書を作成します。 - 契約
見積もり内容に納得できたら、契約を結びます。作業日時もこの時に確定します。 - 作業当日
契約内容に基づき、業者が仕分けや搬出作業を実施します。 - 確認・支払い
作業完了後、部屋の状態を確認し、問題がなければ料金を支払います。
見積もりで必ず確認すべき3つのポイント
見積書を受け取ったら、必ず以下の3点を確認しましょう。
- 作業範囲は明確か: どこまでの作業が料金に含まれているか(仕分け、清掃など)。
- 料金の内訳は詳細か: 「一式」ではなく、人件費、車両費、処分費などが項目別に記載されているか。
- 追加料金の条件は記載されているか: どのような場合に追加料金が発生する可能性があるか。
不明な点があれば、契約前に必ず質問し、書面で回答をもらうことが大切です。
複数の業者から相見積もりを取る重要性
業者を選ぶ際は、最低でも2〜3社から見積もりを取り、比較検討する「相見積もり」が不可欠です。
相見積もりを行うことで、自分のケースの料金相場が分かり、不当に高い業者や安すぎる業者を避けられます。
料金だけでなく、スタッフの対応や提案内容なども比較することで、最も信頼でき、後悔のない一社を選び出すことができます。
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費用を抑えるコツは買取サービスの活用

遺品整理や不用品回収にかかる費用は、買取サービスを上手に活用することで、大幅に抑えることが可能です。
- 遺品整理で買取サービスを利用する大きなメリット
- 不用品の中から価値あるものを見つける方法
- 生前整理で買取サービスを上手に活用する
遺品整理で買取サービスを利用する大きなメリット
遺品整理専門業者の多くは、買取サービスにも力を入れています。
買取が成立すれば、その金額を遺品整理の総費用から差し引くことができます。物量によっては、整理費用を上回り、プラスになるケースさえあります。
費用負担の軽減だけでなく、故人の品物がゴミとして捨てられるのではなく、誰かにとって価値あるものとして再利用されるという点も、大きなメリットといえるでしょう。
不用品の中から価値あるものを見つける方法
自分では価値がないと思っていたものでも、思わぬ高値がつくことがあります。
骨董品や美術品、ブランド品はもちろん、古いおもちゃやオーディオ機器、楽器、着物、切手や古銭のコレクションなどは、専門家が見れば価値を見出してくれる可能性があります。
自己判断で「不用品」と決めつけて処分してしまう前に、一度専門の査定士に見てもらうことをおすすめします。
生前整理で買取サービスを上手に活用する
近年では、生前に身の回りを整理する「生前整理」で買取サービスを利用する方も増えています。
元気なうちに自分の持ち物の価値を知り、自らの意思で手放すものを決めることができます。売却で得たお金を、旅行や趣味、あるいは家族のために使うことも可能です。
何より、将来遺される家族の遺品整理の負担を、大きく軽減することにつながります。
遺品整理と不用品回収に関するよくあるご質問

ここでは、遺品整理と不用品回収に関するよくある質問を紹介します。
Q. 故人が大切にしていた人形や仏壇はどうすればいいですか?
故人が大切にしていた人形や仏壇、神棚など、魂が宿るとされる品々の処分に悩む方は少なくありません。
これらの品物は、お寺や神社に持ち込んで供養やお焚き上げを依頼するのが一般的です。
また、多くの遺品整理業者が、こうした品物の合同供養サービスをオプションとして提供しています。
どのように供養したいかという希望を伝え、対応可能な業者を探すと良いでしょう。
Q. 遺品と不用品の線引きはどう考えればいいですか?
法律上の明確な定義はありませんが、「遺品」は故人が遺した全ての品物を指し、「不用品」はその中で遺族が引き取らず、処分対象となる品物を指すのが一般的です。
線引きで大切なのは、まず親族間で形見分けについて十分に話し合うことです。
その上で、残った品物について、故人への想いを基準に「供養して手放すもの」と「物理的に処分するもの」を考えていくと、気持ちの整理がつきやすいかもしれません。
Q. 特殊清掃が必要な場合も同じ業者に頼めますか?
孤独死などでお亡くなりになった場合、遺品整理と合わせて特殊清掃が必要になるケースがあります。
全ての遺品整理業者が特殊清掃に対応しているわけではありませんが、専門の技術を持つ業者であれば一括で依頼することが可能です。
特殊清掃は非常に専門性が高く、対応できる業者も限られます。もし必要な場合は、遺品整理と特殊清掃の両方の実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。
Q. 自治体の粗大ごみ回収と不用品回収業者はどう違いますか?
自治体の粗大ごみ回収は、料金が安いというメリットがありますが、手続きが煩雑で、指定の場所まで自分で運び出す必要があります。また、回収日が指定されており、急いでいる場合には不向きです。
一方、不用品回収業者は料金が割高になりますが、電話一本で即日対応してくれることも多く、部屋からの運び出しも全て任せられます。手間と時間をかけずに処分したい場合に適したサービスです。
Q. 見積もり後に追加料金が発生することはありますか?
優良な業者であれば、見積もり時に提示された金額から、依頼者側の都合(回収品の追加など)なく追加料金が発生することは、まずありません。
悪質な業者は、見積もりを安く見せかけて契約を取り、作業後に追加料金を請求する手口を使います。
トラブルを避けるためにも、契約前に「見積書に記載のない追加料金は一切発生しませんか?」と確認し、書面での保証をもらうことが大切です。
まとめ
この記事では、遺品整理と不用品回収の違いと、状況に合わせた業者の選び方について解説しました。
最も重要なことは、故人への想いを大切にするなら「遺品整理」、モノの処分だけが目的なら「不用品回収」と、目的によって使い分けることです。
多くの場合、両方に対応できる遺品整理業者に一括で依頼するのが、最もバランスの取れた方法といえるでしょう。
業者選びは、単に料金の安さだけで判断すると、不法投棄などのトラブルや、故人の物をぞんざいに扱われるといった後悔に繋がる可能性があります。
サービスの質と内容をしっかり見極めることが重要です。まずはこの記事を参考に自分の状況を整理し、遺品整理を専門とする業者に相談して、不用品回収も含めた見積もりを取ることから始めてみるのがおすすめです。